2023-05-09
台湾最高行政裁判所大法廷は「著名商標」に関する見解
一、台湾最高行政法院大法廷は、2023年3月17日に111年度大字第1號裁定を公表し、台湾商標法第30条1項11号後段「著名商標」とは、一般消費者に広く知られている程度に達する必要はなく、関連の事業者又は消費者に既に広く認知されていると認定するに足りる客観的な証拠があるものであれば、当該後段の対象となる。つまり、大法廷は実務上でこれまで異なっていた著名商標の定義の論争について法的見解を統一した。
二、本裁定に関する法律
不登録事由の1つとして台湾商標法第30条第1項第11号「他人の著名な商標又は標章と同一又は類似のもので、関連公衆に混同誤認を生じさせるおそれがあるもの、又は著名な商標又は標章の識別力又は信用を損なう恐れがあるもの。」と定められている。本号は著名商標保護を趣旨とした規定であるが、前段と後段の保護の対象及び範囲は両方が異なり、前段において著名商標と混同誤認が生ずる恐れを規定し、後段では著名商標の識別力や信用名誉の希釈化が生ずる恐れを規定している。
三、これまで実務の論争:
今回の大法廷が裁定する前、実務では、11号の前段と後段では要求される周知性、及び対象となる消費者は異なるとされている。前段の規定では関連消費者において著名であることが要件とされているが、後段の規定では一般消費者において著名であることが要件とされ、前段に比べて要求される著名の程度は高い(最高行政法院2016年11月第1次庭長法官聯席會議決議)。
四、今回大法廷が定義付けの理由は以下の通りだ:
1. 1999年9月にWIPOが公表した周知商標保護の共同決議により、著名商標の希釈又は汚染の周知程度については、加盟國の裁量に委ねる。
2. 台湾商標法施行細則第31条には、商標法にいう著名とは、関連の事業者又は消費者に既に広く認知されていると認定するに足りる客観的な証拠があるものをいうと定められてあるが、商標法第30條第1項第11號の前段及び後段に対し、その周知性の定義が区別的に付けていない。
3. 台湾商標法第30条第1項11号における著名商標保護審査基準3.2には、後段の周知性が関連する消費者を超えて一般公衆の認識すべきとされる旨はない。
4.台湾商標法第70条第2項は、商標権侵害とみなす構成要件としては関連公衆に混同誤認が生ずる恐れことと、著名商標の識別力や信用名誉の希釈化が生ずる恐れことであり、その著名商標に対そる特別な区別はない。
5. 台湾経済部智慧財産局(TIPO)発布した「商標法第30條第1項第11項著名商標保護審査基準」3.3項、商標の周知性の高低が商標の希釈化の参酌要素の一つであるが、希釈化の前提條件ではないことを示した。著名商標の識別力や信用名誉の希釈化が各要因を総合的に考慮して判斷すべきである。(商標の著名の程度、商標の類似の程度、商標がその他の商品/役務に広く使用される程度、著名商標の先天的又は後天的な識別性の程度を含む)
五、今回の大法廷の裁定はこれまでに法的見解の不一致を統一し、関連消費者には既に認識しているが一般消費者にはまだ認識しない商標も本号後段の保護対象となり、ひいてはその識別力や信用名誉の希釈化するリスクを回避することができ、さらに今後商標権者が権利行使する際、より明確なの指針を持て得る。
ご興味またはご質問がありましたら、お気軽にご連絡ください。
info@louisipo.com